interview

INTERVIEW of DNA 各々の生き方に宿る、リクルートのDNA

ロボット開発からUXの道へ。知性と感性を併せ持つデザイナーが考えるデザインの本質

秋澤 大樹

株式会社リクルートテクノロジーズ

サービスデザイン1部 ストラテジーグループ グループマネージャー

サービスデザイン2部 シニアマネージャ―

Profile

秋澤 大樹(あきざわ おおき)
2013年中途入社。大学卒業後、人工知能ロボットの開発をするべく某企業で3年間勤務した後、デザイナーを志し、アメリカの美術大学に留学。在学中に、都市の大型施設から文房具のデザインまで、幅広い分野のデザインをフリーランスで経験する。リクルート入社後はさまざまなサービスのUXデザインを統括し、現在はリクルートテクノロジーズにて、UXデザインやデジタルマーケ、ブランディングなどサービスデザインを担う部隊のシニアマネージャーとして、メンバーのマネジメント業務やリクルートが展開する各ブランドのクオリティ管理を行う。
※2016年3月時点です。

デザイナーの父親を持ちながら自らは理系の道を進み、やがてエンジニアからデザイナーへと転身した秋澤大樹。それまで働いていた企業を辞め、アメリカに渡ってデザインを学んだ彼は、モノのデザインではなく体験のデザインを志向し、UXデザインという領域に活動の場を見出した。リクルート入社後は、国内では珍しいUXデザインを専門とするグループで、Java・PHPエンジニア特化型求人情報サイト「Japheego」の立ち上げや、中古車情報サイト「カーセンサーnet」のUIエンハンス、「スタディサプリ」(旧「受験サプリ」)などサプリ全シリーズのUXデザインなど、リクルートのさまざまなサービスに携わる。いまやリクルートのUXデザインを象徴する存在となった秋澤が考える、デザインの本質とは?

エンジニアであればモノ作りができると思っていたのですが、
自分の考えるモノ作りを実現するには
プランニングから関わる必要性があると感じたんです。

—秋澤さんはUXデザイナーになる前はエンジニアでいらっしゃったそうですね。どのような研究をされていたのでしょうか?

秋澤:ずっと理系の道を進んできていて、大学ではロボットの研究をしていました。父親がデザインの仕事をしていたこともあり、自分の中にもデザイン的な思考というものはあったのですが、特にデザインという感性的なものを定量的に評価したいという考えがベースにあったんです。そこから「人間とは何か」ということを考えていくうちに、ロジックとクリエイティビティの間を行き来できそうなロボットという存在に興味が向かっていきました。大学卒業後は人工知能系のロボットの仕事ができそうな企業に入社したのですが、いざ入ってみると自分が希望していたような研究や開発ができない環境で。それで、3年くらいでその会社を辞めました。

—どのような点が希望と違ったのでしょうか?

秋澤:それまでは、エンジニアであればモノ作りができると思っていたのですが、自分の考えるモノ作りを実現するにはプランニングから関わる必要性があると感じたんです。そのためにはデザインの知識を得ないといけないと思い、アメリカの美大に留学することにしました。

—アメリカではどんな勉強をされていたのですか?

秋澤:大学院でプロダクトとヴィジュアルデザインを2年間学びました。そのころからフリーのデザイナーとして仕事をするようになり、その主な領域がUXデザインだったんです。仕事の領域は幅広かったですね。大きいところでは、都市に大型施設を作る際に、周辺の街や人の流れへの影響を考えつつ、どういう施設にするか考えていく仕事などをしていました。また、小さなものでは、化粧品ブランドのコミュニケーションツールから文房具まで、そのツールのあり方やユーザビリティを考えてデザインするような仕事もしていました。

—幅広い仕事に携わるなかで、何か共通した部分はありましたか?

秋澤:もともと、グラフィックやプロダクトなど特定の分野のデザインがしたかったわけではなく、ジャンルを超えて自由に設計したいという思いがありました。例えば、プロダクトデザイナーであれば、モノの形にこだわって設計をしていきますが、僕はそのプロダクトが使われるシーンや体験を作りたかったんです。極端な話、それが達成できるなら自分でモノを作らなくてもいいと思っていたし、本質的にデザインとはそういうものだと感じていました。

ユーザーの視点に立って設計する一方で
それがビジネス的にどういう効果をもたらしたのかも問われる。
バランス感覚に優れた人材が多いと言えると思います。

—リクルートに入社することになったきっかけを教えて下さい。

秋澤:リクルートに入る前に、ベンチャーを立ち上げてスポーツ系のマッチングサービスを運営していたんですね。経営的には順調だったのですが、自分で会社を作っておきながら、少しやりたい方向からずれてきているように感じていて。「このまま経営者として仕事を続けたとしたら、果たして10年先は楽しいのだろうか」と悩んでいたんです。そのころに、分社化してまだ間もなかったリクルートテクノロジーズで働いている方にお会いしたことが、入社の大きなきっかけになりました。

—そこで何かピンと来るものがあったのですか?

秋澤:そうですね。その方とお話をしていて、自分と同じように理系のバックボーンを活かしながらデザインに取り組んでいる方がいるんだということがわかりました。UXデザインというのは明確に定義することが難しく、人それぞれに解釈されているところがあるのですが、その方は自分と同じような考えを持っていたんです。アメリカにいるときにはそういう人に結構会えたのですが、日本にはなかなかいなかったので驚きました。さらに、改めて考えるとリクルートが運営しているサービス自体が僕の考えるUXデザインに近いところがあったので、自分がやりたいことがここにあるんじゃないかと感じました。

—それで入社を決意されたんですね。リクルートに入社してからはどんな仕事をされているのですか?

秋澤:「ゼクシィ」や「カーセンサー」「フロム・エー」をはじめ、リクルートグループが持つほぼすべての領域のサービスを同時並行で手がけてきました。リクルートのUXデザインには、ゼロから新規サービスを立ち上げるケースと、既存の大型サービスを改善していくケースがあります。改善をしていく場合は、サービスの定量的な分析をもとに定性的な仮説を立て、画面の改修イメージを作っていきます。そこから、ボタンの位置調整や情報の出し方などを一つひとつ考えながら、どのくらいコンバージョンアップが見込めるのか検証していきます。新規サービスを立ち上げる場合は、ブランディングやターゲットのマスボリュームといったビジネス的な観点も持ちながら、サービスのデザインを進めていきます。

—リクルートのUXデザインの考え方や進め方には、何か特徴がありますか?

秋澤:チーム全体でひとつのゴールに向かっていく推進力は非常に強いですね。UXデザインではユーザーの視点に立って設計をしていくわけですが、一方でそれがビジネス的にどういう効果をもたらしたのかも問われます。常にそうした環境で仕事をしているので、バランス感覚に優れた人材が多いと言えると思います。

関わるメンバー一人ひとりが
良いサービスを作りたいと心底思えているか。
そこが少しでも揺らいでしまうと、
良いサービスをデザインすることは難しいと思うんです。

—現在、リクルートテクノロジーズにおけるサービスデザイングループのシニアマネージャーでいらっしゃるかと思いますが、マネジメントにおいてどんなことを意識していますか?

秋澤:リクルートというのは、良くも悪くもミッションに対する推進力が非常に強い会社です。さまざまな職能を持った社員を同じ方向に向かわせるということがポイントになりますが、そこには大きな労力が必要ですし、明確な方法論が見つけられているわけではないので、いまもひとつの課題になっています。そのときに大切になってくるのが、関わるメンバー一人ひとりが良いサービスを作りたいと心底思えているかということなのだと思うんです。そこが少しでも揺らいでしまうと良いサービスをデザインすることは難しいと思うので、軸をぶらさないようにということも日頃から大切にしています。

—UXデザイナーの育成においては、どんなことが大切になりますか?

秋澤:少し職人的な話になりますが、やはり現場で周りの人たちの仕事を見ながら覚えていくということが最も大切ですね。もちろん、スキーム化して言葉でも説明していますが、リクルートでは仕事に対する熱量やスタンスが重視される傾向が強く、それは自己の成長という点でも非常に大切なことだと感じます。優れたUXデザイナーには思想や仕事に対するスタンスをしっかり持った人が多い。だからこそ、僕自身がこういう方向で学んでいくべきなんだということを見せていくしかないのかなと考えています。

デザインというのはあくまでも
ビジネスにおけるひとつのスキルだと考えていて、
そういう意味でリクルートには
デザイナーが本来するべき仕事があると感じています。

—リクルートでUXデザイナーとして働くやりがいはどのような部分だとお考えですか?

秋澤:UXデザイナーの大きなモチベーションは、自分が設計したサービスの体験に対してユーザーからのフィードバックがあるということです。その点、リクルートの場合はすぐにダイレクトなフィードバックが得られますし、結果として売上のアップにも直結します。例えば、僕がフリーランス時代に手がけたことがある都市設計デザインだと、その評価がわかるのが数十年先の話だったりする。それに比べると、いまの仕事はフィードバックが非常に早く、日頃からやりがいを感じられますね。デザイナーというのは価値を自己判断的に行いがちで、日本のデザイン教育にしても、表現やモノ作りという部分を重視する傾向があります。もちろんそうした側面も必要ですが、実社会においては、その先につながるものを考えないといけません。デザインというのはあくまでもビジネスにおけるひとつのスキルだと考えていて、そういう意味でリクルートにはデザイナーが本来するべき仕事があると感じています。

—結果がシビアに出る環境にいるからこそ、経験できることがあるということですね。

秋澤:そう思います。いま日本のUXデザイナーの多くが重視しているのは、そのプロダクトをユーザーがどう使ってくれたかというところで、売上がどうなったかというところまで意識している人はまだ少ない現状です。リクルートでは、自分の仕事がビジネスに反映されていくのを肌で体感できるので、UXデザイナーにとって良い経験になると思います。ただ、あまりそこに引っ張られすぎて売上至上主義になってしまっては、カスタマーの体験という本来考えるべき部分がおろそかになってしまうので、バランス感覚が非常に大切になってきます。

—リクルートという会社だからこそできることや、生み出せる価値とは何だと思いますか?

秋澤:社会貢献への意識からプロダクトを生み出すということを本気でやろうとしている会社というのはほかにあまりないと思うので、そうしたモチベーションを持っている人にとって、リクルートというのは最も良い選択肢なのではないでしょうか。もちろん、特定の領域で社会に貢献している会社はたくさんありますが、これだけ網羅的、横断的に取り組んでいる会社は少ないですし、いまや日本だけでなくグローバルにも広がっています。そうしたスケール感のなかでサービスの価値を最大化していくという仕事は、世界的に見てもなかなかできないことなのではないかと思っています。

僕にとってのデザインは、
問題を解決しやりたいことを実行するための手段。
デザインというアウトプットを通して、
目の前の課題を解決していければと考えています。

—これから挑戦してみたいことはありますか?

秋澤:リクルートという会社はこれまでさまざまな事業を作り続けてきて、社会の中でのプレゼンスを高めてきた会社です。そうしたサービスのひとつになるようなものを、いつかは作れたらいいなと思っていますね。何かやりたいことが思いついたときに、わざわざ社外でやらずとも、内部でいっしょにそれを実現できるメンバーというのが徐々に増えてきているので、事業を立ち上げるときには社内の誰かに提案しに行けばいいと思っています。

—作ってみたいサービスの具体的なイメージはお持ちですか?

秋澤:これまでにニューヨークやロンドン、香港など海外の都市で生活していた経験があるので、それぞれの地域の独自性と寄り添った形で働けるような環境やビジネスが作れないかということを漠然と考えていますが……そもそもそれはサービスなのかもわからないですし、壮大過ぎて、具体的なイメージはまだ考えられていません(笑)。

—リクルートであれば、どんなに壮大なことでも、何かしら実現できる方法が見つかりそうな気がします。

秋澤:そうですね。将来的には、世界のいろいろな都市に関わっていけるような働き方や生き方ができるといいなと思っています。僕にとってのデザインは、問題を解決したり、やりたいことを実現するための手段。これからもデザインというアウトプットを通して、目の前の課題を解決していければと考えています。

MODE
FILTER
カテゴリ別
職業別
特性別