interview

各々の生き方に宿る、リクルートのDNA

まだSEOは進化することができる。グループマネージャーが語るSEOの未来

朝倉 将行

株式会社リクルートテクノロジーズ

ITマネジメント統括部 サービスデザイン1部 SEOグループ

グループマネージャー

Profile

朝倉 将行(あさくら まさゆき)
2012年中途入社。前職はシステムエンジニアリング会社でWebサイトなどの開発にエンジニアとして携わり、UI / UX改善やSEO推進などの業務を経験。その後、サービス事業者の立場でSEOに携わることを目的にリクルートに転職。入社後は、「フロムエー」「タウンワーク」「リクナビ進学」をはじめ、さまざまなWebサイトでSEO推進ディレクションを担当。2015年には、SEOグループのマネージャーに就任した。
※2016年3月時点です。

大学ではフランス文学を専攻していたが、その後一見その対極にあるかのようなシステムエンジニアリング会社に就職し、エンジニアとしてのスキルを独学と実践によって身につけた朝倉将行。事業運営側の立場からSEO推進に関わるためリクルートに転職を決めた彼は、現在リクルートテクノロジーズのSEOグループのマネージャーとして、国内・海外問わずさまざまなサービスのSEO推進を行っている。検索という行為の背景にあるニーズを探り、最適なコンテンツをカスタマーに届けることを目指す朝倉は、SEOの未来をどのように捉えているのだろうか?

エンジニアとして仕事を始めてみると、
アルゴリズムやロジックを組み合わせていくことが
パズルを解くようで楽しく、
自分には合っていると感じました。

—朝倉さんは2012年に中途でリクルートに入社されていますが、その前はどんな仕事をしていたのですか?

朝倉:Webサイトのシステムエンジニアリングを請け負う会社で働いていました。もともと大学ではフランス文学を専攻していて、いろいろな作品を読んだり、小説を執筆したりしていたのですが、その後大学を中退し、アルバイトや契約社員として仕事をしながら、将来やりたいことを探しまくっていた時代がありました(笑)。そのころから、ITに対する漠然とした憧れのようなものを持っていて、当時プログラミング未経験の状態で前職の会社に入社して。エンジニアとして仕事を始めてみると、アルゴリズムやロジックを組み合わせていくことがパズルを解くようで楽しく、自分には合っていると感じました。

—論理的、数学的な思考が求められるプログラミングは、一見すると感性的、情緒的な要素が強い文学とはかけ離れているような気がします。

朝倉:そうですよね。これは昔から自覚していることなのですが、自分のなかに論理的な側面と情緒的な側面が混在しています。要件を実現するシステム的方法やアルゴリズムを創意工夫するセンスと、その処理を実現するプログラムをいかに正確に、効率的に作れるかという技術。その両面を同時に追求し、磨いていくことに夢中になりました。プログラミング関連の技術書やマーケティング関連の書籍を年間数百冊読むということをコンスタントに続けながら、会社の仕事と並行して自主的にプログラムやサービスを作ったりもしていました。

受託のエンジニアとしての裁量に限界を感じていたので、
よりチャレンジできる幅が広がりそうな事業側の立場から、
より本質的なSEOにチャレンジしたかった。

—前職にいたときからSEOの仕事をされていたのでしょうか?

朝倉:Webサイトの集客改善施策の開発チームリーダーを担当していたとき、大規模なSEOプロジェクトを実施しました。当時は、Googleなどの検索エンジンのアルゴリズムがまだ進化しきっておらず、そのアルゴリズムに評価されやすいサイトをテクニカルに作れた時代で、それによって検索順位を上げるマーケティング手法もありました。ただ、結局そうした技術的なところから順位を上げたとしても、カスタマーはそれを喜びはしないですよね。とはいえ、与えられた数値目標を達成しなければいけないというジレンマがありました。自分としても、受託のエンジニアとしての裁量に限界を感じていたので、よりチャレンジできる幅が広がりそうな事業側の立場から、より本質的なSEOにチャレンジしたかったというのも、リクルートで仕事をしたいと思った理由です。

—エンジニアとしてリクルートに入社してから、印象に残っている仕事を教えてください。

朝倉:ひとつは、SEOを第一義に掲げた「タウンワーク」のフルリニューアルです。リクルートジョブズの母艦とも言える「タウンワーク」のWeb集客を左右するプロジェクトを成功させたことが、大きなターニングポイントになりました。もうひとつは、1年ほど前から始めた海外SEOへの挑戦ですね。リクルートでは投資戦略の一環として、これまでに国内で培ってきた営業やマーケティングのノウハウといったアセットを、海外企業に注入してバリューアップする、という取り組みを行っているのですが、そのアセットのひとつとしてSEOを位置づけています。それまでは、日本国内のマーケットとカスタマーだけを見つめてSEOという専門領域に従事してきましたが、まったく環境が異なる海外を相手にしたこのプロジェクトは、自分にとっても非常にチャレンジングな取り組みです。

—やはり、これまで日本で行ってきたSEOとは異なるものが求められるのですか?

朝倉:そうですね。マーケティング手法としてのSEOのあり方だけでいえば、カスタマーが求める情報ニーズを検索キーワードから推測し、そのニーズを満たすコンテンツとサイト構造を設計し実装していく点は、日本でも海外でも同じだと思います。異なるのは、検索文化と検索キーワードの言語、SEOを推進する事業環境ですね。例えば、国内のリクルートのWebサイトにおいては、事業戦略あるいは集客戦略上のSEOの重要性は関係者すべての共通認識になっているので、SEOを推進していくためのリソースも調達・確保しやすい事業環境があります。一方で海外の場合は、その事業戦略においてSEOを推進する意義がどれほどあるか、また、どのような体制・フローで推進していくべきか、ということから見立てて、関係者に説明し、合意を得ながら動かしていく必要があります。

—合意を得ていくのも、日本で行うようにスムーズにいかないことも多そうですね。

朝倉:文化も言語も異なる海外の協働者に、SEOの戦略意義から具体的な施策指示までをすべて行うというコミュニケーションの難しさもありました。しかし、数々のチャレンジを経て、実際に海外サービスのSEO成果を創出できているので、我々が培ってきたSEO推進の知見と経験は海外においても有用だということがわかり、手応えを感じています。

「まだSEOは進化することができる」ということを
チーム全員が思い描けるようにヴィジョンを共有しながら、
全社に対して幅広く深いマーケティング貢献が
できる組織にしていきたいですね。

—リクルートのSEOにおいて、こだわっていることは何ですか?

朝倉:ともすればSEOは、検索キーワードの順位を上昇させて、Webサイトのトラフィックを最大化させる手法として認知されがちです。しかし、リクルートにおいては、検索キーワードを「カスタマーが満たしたい欲求、解決したい課題」と捉えていて、本質的なSEOというのは、「その欲求や課題に対してリクルートの価値ある情報を適切に届けることで、カスタマーの意思決定をより多く、より良くしていく取り組み」であると考えています。

—SEOの本質を考えていらっしゃるんですね。具体的に、どのように施策を行っていくのでしょうか?

朝倉:カスタマーがどんな情報ニーズを持っているかを、データを集めたり、カスタマーにヒアリングをしたり、幅広いリサーチを通してつかんだうえで、それに対して自分たちのサイトがどう設計されていればメディアの情報価値を適切に届けられるのか、ということを意識してサイト構造を考えていきます。リクルートは多くの領域でサービスを運営しているので、リクルート全社を横断するSEO組織である我々が対峙するカスタマーのニーズは非常に幅広く、キーワード数も膨大です。そのため、ニーズの質と量を正確に突き止める目的で、ツールも独自に開発したものを用いて分析を行っています。それぞれのサービスで得られた知見と事例を集約し、ほかのサービスへ応用できる、という横断組織ならではの強みを生かすことを大事にしています。
※リクルートテクノロジーズは機能会社として複数の事業プロダクトをまたいでいる

—仮にSEO施策の効果がうまく出なかったときには、どのような対処をされるのですか?

朝倉:Googleをはじめとする検索エンジンはアルゴリズムを日々進化させていて、サイトの評価基準は日々変わっていくので、昨日まで通用していたSEO施策が今日からは意味がなくなることもありえます。しかし、SEOとは「カスタマーが必要な情報を、適切に届けることができるサイトを目指すこと」であるという根幹は変わらないので、過去にとらわれず、より本質的なSEOとは何かを絶えず仮説検証して、改善を続けています。

―朝倉さんは現在、SEOグループをマネジメントしていく立場ですが、チームを作っていくうえではどんなことを意識していますか?

朝倉:リクルートは国内・海外に数百のWebサイトを持っていますが、それらのサイトにどういった順で取り組んで、リクルート全社のSEOを改善していくか、という機能組織としての戦略を意識しています。また自分も含め、そのサイトのSEO推進を行うことが担当メンバーの成長機会になりうるかどうかということも強く意識しています。特に、新卒で入社してくる人たちには、次世代のSEOを新たに定義するくらいの意識で壁を突破してもらいたい、と期待をかけて育成しています。「まだSEOは進化することができる」ということをチーム全員が思い描けるようにヴィジョンを共有しながら、リクルート全社に対してこれまで以上に幅広く深いマーケティング貢献ができる組織にしていきたいと考えています。

リクルートには、
世の中にあるさまざまな分野の課題を解決したい
というヴィジョンを持った人たちがたくさんいて、
非常に良い仕事環境だと感じています。

—「まだSEOは進化することができる」というお話がありましたが、SEOの未来について、朝倉さんはどのようにお考えですか?

朝倉:SEOというのはWebの世界でも比較的歴史が長く、専門性が高い領域ですが、数年前からコモディティ化しつつあるとみなされやすいところもあって。とはいえ、カスタマーの検索リテラシーもGoogleも進化し続けており、SEOも変容を続けています。テクニカルな要素こそ変わっても、「カスタマーのニーズを見極め、本質的なサービスのあり方を考える」という点ではSEOは今後も重要な領域です。さらに、リクルートは海外のSEOにチャレンジできる機会にも恵まれているので、まだまだおもしろいことができると思っています。カスタマーの検索行動も検索対象も日々多様化・深化していますし、この先の未来には、もしかしたら脳波検索が一般化して、能動的な検索の必要性がなくなる時代が来るかもしれません。でも、「ヒトが何かを欲する」ということがなくならない限り、その検索アルゴリズムに対するマーケティング活動は存在し続けるのではないかと思っています。

—リクルートのSEO組織で仕事をすることで、どんなスキルが身につけられると思いますか?

朝倉:SEOの戦略設計から施策のプランニング、実装、リリース、モニタリングまで、一連の工程にフルコミットしていく経験というのは、ほかの大企業のインハウス組織ではなかなかできないことだと思います。また、扱う事業領域や規模が桁違いに大きいサービスのなかで、独自の分析ツールも駆使しながら、最先端のマーケティングにチャレンジできます。さらに、SEOにとどまらず幅広いデジタルマーケティング推進組織やUXデザイン組織、そのほかのスペシャリストとの連携機会も多く、ケーパビリティの幅を広げることができます。そして、社内外問わずさまざまなステークホルダーを巻き込みながら仕事をしていくことになるので、テクニカルな部分にとどまらないマーケティングの推進力が磨かれるはずです。

—いろいろな立場の人と大きなプロジェクトを動かしていける環境があるというのは大きな魅力ですね。

朝倉:リクルートには、世の中にあるさまざまな分野の課題を解決したいというヴィジョンを持った人たちがたくさんいて、非常に良い仕事環境です。立場や役割は違えども、共通のゴールを目指す間柄として、各人の持つ専門性や経験を活かし、協力しながらプロジェクトを遂行するという仕事のスタンスを、自分はまさにこのリクルートにおいて身につけることができました。プロジェクトに新たに関わる人たちに対しては、「何を実現するべきなのか」という共通のゴールやヴィジョンを共有するようにしています。自分の専門性は最大限に活かしつつ、自分の専門領域に閉じずに、共通のゴールに向かって協力し合えるようなプロジェクトリーディングを心がけています。

ITやインターネットの世界は、
3年前にはなかった技術やノウハウ、領域が次々と生まれてきています。
だから僕は、3年以上先のことはあまり考えないようにしています。

—これまでさまざまなサービスのSEO推進を行ってきていらっしゃいますが、今後、リクルートで実現させたいと考えていることはありますか?

朝倉:いろいろありますが、リクルートメディアが持つ価値ある情報を、SEOによってより適切にカスタマーに届け、その結果として圧倒的なマーケットポジションを確立させたいという思いがあります。極端な話、しばらく前までは、求人系の検索順位の1位から10位までをリクルートメディアで独占するということが夢でした。もちろんカスタマーからするとそれは最適な形ではないので、最近はそういうことは考えていませんが、推進している各メディアでしっかりと成果を出すということは自分たちのミッションです。また、グローバルSEOに携わる身としては、リクルートの海外展開に重要な貢献をしていくというのも、引き続き取り組んでいきたい大きなチャレンジですね。

—これまでの仕事を振り返ってみて、いまどんなことを感じていますか?

朝倉:僕には2人の子どもがいるのですが、子どもが産まれたことが今後を考えるうえでひとつの契機になりました。この先、自分たちの子どもが大きくなってリクルートのメディアを使うようになったときに、どういうものであれば便利だろうか、という視座で仕事をしていくべきだと強く思ったんですね。いつまでにビッグワード1位を目指すとか、これだけ流入を稼ぐという数値目標も設定するのですが、その先にあるゴールというのは、自分の子どもたちの世代が使いやすく、便利に感じるメディアを作り上げて社会貢献することだと考えています。

—これからもずっとリクルートでSEOの仕事を続けていくつもりですか?

朝倉:それはわかりません。そもそも僕は、3年以上先のことはあまり考えないようにしているんです。ITやインターネットの世界では、それこそ3年前にはなかった技術やノウハウ、領域が次々と生まれてきています。それを考えると、当然3年後も大きく変容しているはずですよね。そうした世界に対して、自分の現在の考え方をそのまま適用したり、その道の専門家になるということを決めてしまうのは、個人的にはあまり良くないのかなと思います。ただ、これからもカスタマーが何かしらの手段で情報を得ようとしたときに、最適な情報を提供していくような仕事には携わっていきたいです。そういう仕事はずっとなくならないと考えています。例えば、今後人々がキーボードを使わなくなり、脳波を通じて検索を行う時代が来たとしても、その脳波からカスタマーのニーズを見極め、ベストな情報を届けるということをしていきたいなと。そういう仕事を続けるという意味では、リクルートというのは良い環境なのかなと思っています。

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