interview

各々の生き方に宿る、リクルートのDNA

新規事業育成マネージャーが考える、経営という「最高のボードゲーム」を楽しむ方法

古川 央士

株式会社リクルートホールディングス Media Technology Lab.

アクセラレーションGマネージャー

Profile

古川 央士(ふるかわ ひさし)
2011年新卒入社。大学時代に、IT企業での勤務やネットベンチャーの立ち上げを経験し、インターネットのモノ作りと経営のおもしろさを知る。リクルート入社後は「SUUMO」のWeb制作チームで内製クリエイティブチームやUXチームを立ち上げ、入社5年目からは新規事業を担当するMedia Technology Lab.に異動。現在は、10を超える新規事業のプロダクトオーナーらとともに、事業の開発、育成に取り組んでいる。
※2016年3月時点です。

学生時代の経験を通じて、企業経営に、自身が好きだったボードゲームと共通するおもしろさを見出したという古川央士。リクルート入社後、「SUUMO」のクリエイティブチームに携わることとなった彼は、学生時代から得意としていた「画面」のデザインから、やがて事業目線を携えた「チーム」のデザインへと、自らの役割をシフトさせていく。入社5年目となる2015年、リクルートの新規事業の開発、育成を担うMedia Technology Lab.に活動の場を移すこととなった彼は、経営という「最高のボードゲーム」を楽しむ将来の姿を想像しながら、リクルートの未来を作る新規事業を開発すべく、日々奮闘を続けている。

ただ好きな仲間と集まって何かをするだけではなく、
戦略的な考えを持って会社を成長させていくということを
真剣に考えないといけないなと強く感じました。

—古川さんは、学生時代にはどんなことをされていましたか?

古川:特に意識が高い学生ではなかったので(笑)、何か志を持っていたわけではなく、友人とたむろしてボードゲームなどをしたりしていましたね。ただ、基本的に仲間といっしょに何かをするということは好きだったので、友人が関わっていた男子シンクロナイズドスイミングの学生団体に参加して運営のサポートをしたり、友人といっしょに電子書籍関連のベンチャーを立ち上げるという経験もしました。そのなかで、インターネットでモノを作る楽しさを知って、ビジネスというものにボードゲーム的なおもしろさを感じるようになっていきました。

—インターネットのどんなところに魅力を感じていたのですか?

古川:ベンチャーを立ち上げたとき、必要に駆られてプログラミングを独学で習得したのですが、もともと飽きやすい性格だった自分が、飽きずに覚えていけたんですね。音楽なら楽器を覚える必要があるし、絵を描くにしても技術を磨くまでに時間がかかりますが、インターネットの場合はコードを書いたらすぐにブラウザで確認できるというレスポンスの速さがあります。また、少しチャレンジすればその分だけ結果が出るというところも自分に合っていたのだと思います。

—ベンチャー事業はうまくいったのでしょうか?

古川:なかなかうまくいかず、途中で解散してしまったんです。それまでは仲間といっしょに楽しくできていて、とても居心地の良い空間だったのですが、それゆえに先のことをあまり考えていなかったところがありました。解散してしまったということが自分にとってはショックで、ただ好きな仲間と集まって何かをするだけではなく、戦略的な考えを持って会社を成長させていく、ということを真剣に考えないといけないなと強く感じました。たった4人のチームだったのですが、そのなかでも難しさを感じていたチームビルディングなどについて、企業に就職して学んでみたいと考えるようになったんです。

リクルートの人たちだけ、
面接のときに僕の話を全然聞いてくれなかったんですよ。
面接なのに、いかに自分が活躍しているか
ということをアピールする社員が多くて(笑)。

—リクルートに就職しようと思った理由は何だったのですか?

古川:就活では、IT系の事業に関われること、大きな組織であることに加えて、複数の事業を展開していることを条件に企業を探していきました。当時の僕は、自分にどんな領域が合っているのかわからず、どの業界を選べばいいのか決めきれなかったんです。これらの条件から考えていった結果、思い浮かぶ会社がリクルートで、狙いをほとんど一本に絞って就活をしていました。

—リクルート以外は受けなかったのですか?

古川:広告代理店やITベンチャーなどいくつかの企業を受けたりはしたのですが、そのなかでもリクルートの面接がとても印象に残っています。というのも、リクルートの人たちだけ、面接のときに僕の話を全然聞いてくれなかったんですよ。面接なのに、いかに自分が活躍しているかということをアピールする社員が多くて(笑)。でも、それが全然嫌味な感じではなく、自分もここに参加したいと強く思ったことを覚えています。

—入社後は「SUUMO」のチームに配属されたそうですが、配属先についてどう感じましたか?

古川:実は、「ホットペッパー」や「じゃらん」といった自分にとってなじみのあるサービスを多く展開していたリクルートライフスタイルがいいなと思って希望も出していたのですが、違う部署に配属になり、最初は正直テンションが落ちました。ただ、グループマネージャーをはじめ、いろいろな人たちと話をしていくなかで、それぞれがマーケットに対する想いを持っていることがわかったんです。それから「魅力を感じられなかったのは業界のことを知らなかったからかもしれない」と、気持ちを切り替えることができました。

—最初はどういった仕事をされていたのですか?

古川:「SUUMO」のWebサイトのデザインやHTMLコーディングなどの制作ディレクションの仕事でした。自分としては、学生時代から得意だったデザインやフロントエンドのコーディングができる仕事だとイメージしていたのですが、当時制作部隊を統括していたリーダーが転職してしまったこともあり、自分はその代役として、社員や制作パートナーさんとやり取りしながら、どのような体制を作れば生産性が上がるのかを考えていく役割につくことになって。直接自分が手を動かす機会は少なく、自分で作りたいと思っているものをほかの人に渡さないといけないということが、当時の僕にとってはフラストレーションでした。

自分がやりたいことを実現するために、
いかにホームランを打つかということばかり考えていました。
でも、ホームランバッターだけでは
会社は機能しないんですよね。

—フラストレーションが溜まる状態の中で、どのようにそれらの仕事と向き合っていったのですか?

古川:しばらくはしっかり向き合うことができず、「なぜ自分に作らせてくれないんだ」と、生意気な文句を言っていました(笑)。そのころに新しく入ってきたチームのリーダーがやがて僕の恩師になるのですが、その人に言われたのは、「ページを1枚作ることを1人でやっても、せいぜい1人分の力しか発揮できない」ということでした。それよりも、「SUUMO」のデザインの方向性がどうあるべきか、生産性をいかに高めていくか、クリエイティブチームがどうあるべきかということを、事業目線で考えなさいと。

—チームの重要性を教えてくれたんですね。

古川:はい。それまでの僕は、自分がやりたいことやあるべき姿を実現するために、いかにホームランを打つかということばかり考えていたのですが、当然ながらホームランバッターだけでは会社は機能しません。頭ではわかっていたつもりだったのですが、面と向かって話をされたことでそれを実感し、自分に足りていなかったことが明確になりました。

—そこからは仕事への向き合い方も大きく変わったのですか?

古川:自分が制作チームを背負っているんだという感覚を持つようになりましたね。また、制作チームに「SUUMOフロントクリエイティブチーム」という名前をつけて「SFC」と呼ぶようにしたり、制作チームへ依頼するときの雛形を整備したりしながら、チーム全体のプレゼンスを高めていくことに努めました。一方で、オフィスの環境を改善するために観葉植物を買うことなどもしていました(笑)。そうしていくうちに、最近クリエイティブチームの品質が上がってきたと言われるようになり、チームの雰囲気も明るくなっていったんです。その後も、UXデザインチームの新設を自ら働きかけるなど、事業目線で物事を考えながら、さまざまなアウトプットを続けていきました。

若手を信頼して任せるのは勇気がいること。
リクルートにいる多くの人たちが、
過去に同じような機会を与えられてきた経験があるからこそ
できることだと思います。

—入社直後からチームビルディングというものを実践していくなかで、リクルートという組織についてはどんなことを感じましたか?

古川:入社直後にいきなりチーム管理を任されたということがわかりやすい例ですが、リクルートには、若手の人にある意味「丸投げ」してしまう文化があります。もちろんそれは、上司が適当に決めているのではなく、会社が一人ひとりの社員のキャリアをさまざまな角度から真剣に考えてくれているからこそ、そうした機会を与えてくれるんです。若手を信頼して任せるというのは勇気のいることですが、リクルートにいる多くの人たちが、過去に同じような機会を与えられてきた経験があるからこそ、下の世代にも裁量権を渡すことができるのだと思います。

—信頼しているからこそ大きな仕事も任せてくれると。

古川:そうですね。僕は、入社5年目でMedia Technology Lab.(以下、MTL)に異動になったのですが、それまでとはまったく違う領域への配属ということについても、僕に成長の機会を与えてくれているのだと感じています。仮に一度失敗をしても、全力で取り組んでいればまたチャンスを与えてもらえるし、成長していけるということが経験的にわかっているので、これからもチャンスを与えられた分だけチャレンジしていきたいと思っています。

—自らが希望して移ったわけではなかったんですね。

古川:突然でしたね(笑)。新卒から住宅領域で仕事を続けてきて、自分のチームは家族のような存在になっていたし、そこで築いてきた人間関係などもあったのですが、新しい部署になると当然それらがなくなります。また、グループマネージャーとして関わることになったので、何人ものメンバーと多くのプロジェクトを抱えることになり、そこに対する漠然とした不安もありました。でも、現在はそれらすべてを成長の機会と受け止めて、仕事に取り組んでいます。

Media Technology Lab.は
リクルートの既存サービスとはまったく違うところ。
新しいビジネスモデルやマーケットを模索していくことは
非常に刺激的ですし、大きな可能性を感じています。

—現在、MTLでどんな仕事をしているのですか?

古川:MTLはリクルートの新規事業を作っていく組織なのですが、現在は「NewRING -Recruit Ventures-」という社内の新規事業提案制度を通過してきた10を超えるプロジェクトを成長させていくことが自分のミッションです。マーケットやカスタマー、クライアントなどを考えながら、各事業の立案者とともに戦略やビジネスモデルを考え、必要に応じてヒト・モノ・カネを投入し、事業の成長をサポートしていくということをしています。

—「SUUMO」でやられてきた仕事とはだいぶ違いそうですね。

古川:そうですね。マネジメントという部分では「SUUMO」での経験を活かせていますが、事業を育成していくという役割はもちろん初めてですし、マーケットも大きく異なるので、日々チャレンジです。チームのメンバーたちは、「NewRING -Recruit Ventures-」の難関をくぐり抜けてきた強者たちですし、グループマネージャーといっても自分はまだ経験が浅いので、多くのことを学ばせてもらっています。そのなかで、横断的に全体を見渡しながら、そこで得た有用な情報やノウハウなどを、ほかの事業にも展開できるように共有していくことが自分の役割なのかなと考えています。

—新規事業に関わっていくことの醍醐味はどういった部分ですか?

古川:リクルートの既存サービスとはまったく違うところで、新しいビジネスモデルやマーケットを模索していくことは非常に刺激的ですし、大きな可能性を感じています。収益構造の作り方や追うべきKPIなどには共通する部分があり、ビジネスの本質みたいなものが見えてくるのもおもしろいところです。今後の自分にとっても参考になることが非常に多く、良い経験ができていると思いますね。これからのMTLは、リクルートの中長期的ヴィジョンを見据え、会社にとって10年後何が必要かを考えていくべきだと思っています。目先のリターンを求めるのではなく、新しい領域、新しいビジネスに飛び込み、既存事業からジャンプアップできるようなものに投資をして、いずれは数百億円、1千億円規模のビジネスを作っていくという意識で取り組んでいます。

学生時代、経営というものが
最もおもしろいボードゲームなんじゃないかと感じたように、
ビジネスの世界でゲームを楽しみたい
という思いがずっとあります。

—リクルートのIT部隊だからこそ経験できることは何かありますか?

古川:これだけのユーザー数を抱える事業やサービスを多く運営しているので、具体的な戦略の立て方やインフラの整備の仕方など、多くのことを学べるはずです。また、リクルートはIT企業として成長していけるポテンシャルが大きいと思うので、今後成長のスピードはますます加速していくはずですし、その過程でジョインできることもひとつの楽しみだと思います。僕自身、学生のときにイメージしていた仕事よりもはるかに幅広い経験をすることで、自分がやりたいことも大きく変わってきました。それだけ多くのチャンスを与えていただけているということなんですよね。学生時代に思い描いたヴィジョンを実現するということだけではなく、ヴィジョンを見つけるためにリクルートに入るというスタンスでもいいんじゃないかなと感じています。

—なるほど。古川さんが今後リクルートでしたいと思っていることを教えてください。

古川:ゆくゆくは経営者になりたいと考えているのですが、リクルートではいま以上に大きな事業や組織を見ていく経験をしたいですね。現在は十数人規模のチームに携わっていて、それも非常におもしろいのですが、より大きな規模の事業やメンバーをマネジメントしていくためには、また別のスキルが必要になると思うので、これからはそういうものを学んでいきたいと考えています。

—将来はどんな経営者になりたいと考えているのですか?

古川:最初に、学生時代ボードゲームをしていたという話をしましたが、実はいまもベースはあまり変わっていないんです。当時、経営というものが最もおもしろいボードゲームなんじゃないかと感じたように、ビジネスの世界でゲームを楽しみたいという思いがずっとあります。いずれは仲間たちといっしょに、自分が隅々まで見られる規模の会社で大好きなボードゲームを楽しみながら、社会に貢献したり、世の中の人を幸せにできる事業ができたらいいなと考えています。

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