interview

各々の生き方に宿る、リクルートのDNA

未開拓領域を切り開き、受験生の支持を得た「スタディサプリ」に込められた想い

西山 亮介

株式会社リクルートマーケティングパートナーズ

ネットビジネス本部 ラーニングプラットフォーム推進室 事業開発部 部長

Profile

西山 亮介(にしやま りょうすけ)
2006年新卒入社。入社してから約4年半、SUUMOサイトの立ち上げや、住宅関連の事業開発案件などを担当。2011年より進学領域に配属となり、同年には新規事業提案制度「NewRING」でグランプリを獲得し、「スタディサプリ」に立ち上げメンバーとして参加する。現在は部長として、主に「スタディサプリ」の中長期成長戦略の立案と実行推進を担っている。
※2016年3月時点です。

いまや受験生の多くが利用する人気を誇るオンライン学習サービス「スタディサプリ」。西山亮介は、リクルートの新規事業提案制度「NewRING」において、このサービスの原案でグランプリを獲得し、2011年から立ち上げメンバーとして関わってきた「スタディサプリ」の中心人物だ。「世界の果てまで最高の学びを届けよう」という壮大なヴィジョンを思い描き、リクルートが持つアセットを最大限に活かすことで、未開拓領域における事業を成功に導いた彼は、世界中の教育環境格差をなくし、若者たちの可能性を広げていくことを次なる目標に掲げ、さらなる飛躍を目指している。

※「スタディサプリ」とは旧「受験サプリ」のことを指します。

「未来を創造すること」
「現場の気持ちを大事にすること」
「プロフェッショナルとしての自覚を持つこと」。
これらはいまも僕の根底に流れているものですね。

—西山さんは大学で建築を専攻されていたそうですね。

西山:はい。大学は理系に進もうと最初から決めていたのですが、モノ作りに関わりたかったので建築学部に入りました。当時は、建築であればデザインやクリエイティブにも触れられるんじゃないかと安易に思っていました(笑)。実際に建築を学ぶことはとても楽しかったのですが、僕が入った大学は建築の設計課題が大変で、例えば「図書館を設計する」という課題ひとつとっても、ただ決められた敷地のなかで建物を設計するということではなく、周囲の環境や歴史、社会、思想、哲学などさまざまな要素を考慮した上で、どんな図書館を建てるべきかを考えなさいと言われるのです。

—ただ与えられた課題に対して答えるだけでなく、課題自体を自分で考えるのですね。

西山:そうなんです。自ら課題を設定したうえで、それを解決するためのプログラムを構築し、そのアウトプットとして建築があるという考え方を叩き込まれました。そのなかでも自分が特に興味があったのは、「そこにどんな課題があるのか」を読み取るということだったので、それならばアウトプットの形は建築でなくてもいいのではないか、と考えるようになりました。

—リクルートに就職したいと考えるようになったのはなぜだったのですか?

西山:アウトプットが建築じゃないとしたら、マーケティングというのもいいかもしれないと思うようになりました。リクルートに入りたいと思った最初のきっかけは冬のインターンシップで、そこに集まっていた仲間がおもしろくて、メンターとしてついてくださった方々も刺激的な人たちだったので! ちょうどそのころは、ジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー2』を読んだばかりだったのですが、その本に書かれていた「どこ行きのバスに乗るかよりも、誰とそのバスに乗るのかが大事」といった話に影響を受けていて、「よし、ここだ」と。

—実際に入社されてみていかがでしたか?

西山:リクルートに入社してからは、本当にいろんなことを経験させてもらったのですが、特に多くを学んだのは、入社4年目に配属になった現リクルート住まいカンパニーの事業開発室で仕事をしていたときです。そこで学んだことは主に3つあって、「未来を創造すること(意志)」「現場の気持ちを大事にすること(ユーザーファースト)」「プロフェッショナルとしての自覚を持つこと(覚悟)」なのですが、いまもこれらは僕の根底に流れているものですね。

「学びたいと思ったすべての人が
学ぶことのできる世の中を実現する」
という青臭いことを、本気で考えています。

—現在西山さんが主に携わっている「スタディサプリ」は、リクルートの新規事業提案制度「NewRING」で提案して事業化されたものだそうですね。どのような経緯でアイデアが生まれたのですか?

西山:「NewRING」の最終プレゼンテーションで僕らのチームが伝えたことは、「誰もが明るい未来を夢見ることができる世の中を作りたい」ということでした。そのために、教育を解放し、日本の未来を変えたい。日本を世界に誇れる国にしたいということを考えたのですが、いまもこの想いはまったく変わっていません。そして、その先には、「スタディサプリ」が教育インフラの整備されていない国のプラットフォームとなること、つまり、最高の学びを世界の果てまで届けるというヴィジョンを思い描いています。「学びたい人が誰でも学ぶことができる世界、ひとりでも多くの人が自分の未来のために学ぼうと思える世の中を実現する」という青臭いことを、本気で考えています。

—サービスを軌道に乗せるまでには、どんな障壁がありましたか?

西山:もう壁ばかりでした(笑)。いま「スタディサプリ」は月額980円で受講し放題というサービスになっていますが、この形にいたるまでにも紆余曲折がありました。それでも関わっているチーム全員がプロジェクトを前向きに進めてこられたのは、世の中にとって圧倒的に良いものを提供しているという自負があったからです。経営ボードも含めて、誰もネガティブな発想をすることはなく、「どうすればいいんだろう」「もっとこうしたいね」という会話を重ねながら、サービスを磨き続けてきました。それが実を結び、いまではアプリの5段階評価で5をつけてくれる高校生が90%以上もいるという驚異的な支持を得るまでにいたりました。

—「スタディサプリ」は、なぜそれほど高校生たちに支持されているのだと思いますか?

西山:良質な授業コンテンツにこだわった結果だと思っています。事業に取り組むことになったときから、サービスのコアになるのはコンテンツだという思いを強く持っていました。有象無象のさまざまな情報を詰め込んで、そこからユーザーに選んでもらうという発想もありますが、そもそも選ぶということが面倒に感じられてしまうかもしれない。自分自身のことに置き換えてみても、例えば、グルメの口コミサイトから一つひとつお店を探すことよりも、信頼している人が「美味い!」と言っているお店の方に足を運びたいというのがありますよね。だからこそ、まずは良質なコンテンツを自前で作ることにこだわるということを明確に決めて、僕たちの考え方に共感していただける先生たちといっしょに、一生懸命コンテンツを磨き上げていきました。

まだWeb化されてないものを
Web化するということがいまの勝ち筋。
これに当てはまっている「スタディサプリ」の可能性は、
無限だと思っています。

—立ち上げからすでに約5年が経ち、いまでは2015年度累計有料会員数が25万人を超え、多くの受験生が利用するサービスになっていますが、ここまでの規模に成長できた理由はどんなところにあると思いますか?

西山:「スタディサプリ」は、カリスマ先生をはじめ、さまざまな方々に支えられて成り立っているサービスです。スタート当初からサービスにジョインしてくださっている先生たちは、リクルートという会社がこれまで積み上げてきたものに期待してくれた部分が大きいのではないかと感じています。僕たちは、ご家庭の経済事情やお住まいの地域差などから生まれる教育格差を解消したいという明確なヴィジョンこそ持っていましたが、教育業界では素人でした。そうした我々のヴィジョンに共感してくださり、リクルートなら何か新しいイノベーションを起こしてくれるかもしれないという期待を持っていただけたからこそ、ゼロからいっしょに関わってくださったのだと思います。

—リクルートという会社が積み上げてきた実績と、「スタディサプリ」が持つ未来を変えていこうとするヴィジョンが掛け合わされた結果ということですね。

西山:そう思います。立ち上げ当初からダイナミックにサービスを展開できたのは、リクルートにいる社員たちの力が大きかったと感じていますね。例えば、リクルートは「リクナビ進学」などの事業を通して、40年以上にわたり高校や大学、専門学校と関係性を築いてきているため、全国の学校に渉外、営業担当者がついています。この渉外アセットを活用し、全国の高校に「スタディサプリ」のチラシを配布したりして、集客活動を行っていただいたりしています。これまであっという間の5年間でしたが、さまざまな経験をしながらドキドキワクワクの毎日を過ごすことができています。

—サービスを運営するうえで、西山さんが大切にしていることを教えてください。

西山:ユーザーから「ありがとう」と言ってもらえるようなサービスを運営したいですね。「スタディサプリ」にしても、サービスを使うユーザーからはお金をいただいているわけですが、それ以上の価値を提供することで、「ありがとう」と言ってもらえるようなものにしたかったのです。実際にいまでは、「スタディサプリのおかげで合格できました」とか「まったく勉強しなかった子どもが勉強するようになりました」といった受験生や親御さんからのお礼の言葉を、メールや手紙でいただくようになりました。ビジネスの観点では、大きな市場のなかで、まだWeb化されてないものをWeb化するということがこれからの勝ち筋だと考えています。まさに「スタディサプリ」はこれに当てはまっているサービスでしたし、これからも可能性は無限だと思っています。

リクルートのあらゆる領域における
切り込み隊長という役割も、
我々は担っているのかもしれません。

—西山さんご自身がリクルートに対して提供できる価値にはどんなものがあると思いますか?

西山:リクルートからはいろいろなものを提供してもらっていますが、逆に何か価値を提供するということについては考えたことがありませんでしたね。「スタディサプリ」のメインユーザーは小学生から高校生までなのですが、彼らにとってはこのサービスがリクルートと触れ合う最初の場になる可能性が高いです。つまり、我々のサービスがリクルートという企業の印象を決めてしまう可能性もある。良いサービスを提供していくということが、結果としてリクルートにもプラスになるのではないかと思っています。

—さまざまな領域に活かしていけるサービスだと言えそうですね。

西山:はい。「スタディサプリ」のユーザーの会員ログ、学習ログのデータは、さまざまな活用ができるはずだと思っています。そういう意味では、就職や転職分野はもちろん、ライフスタイル、ライフイベント領域など、リクルートのあらゆる領域における切り込み隊長という役割も、我々は担っているのかもしれません。

—「スタディサプリ」では、今後どんなことに力を入れていきたいですか?

西山:「スタディサプリ」を世界で一番ユーザーが多い学習サービスにしたいと考えています。授業や教材の内容は国によって変わってくる部分も当然あるとは思いますが、「スタディサプリ」の仕組みは世界のどこにでも持っていけるものなので、積極的に海外展開に取り組んでいきたいです。そして、すでにオンラインプラットフォームとして世界に展開している「Quipper」チームとともに世界一の教育サービスを実現するということが、地球の未来を作っていくことにもつながると信じています。オンライン教育マーケットは急速に拡大しており、この先5年が勝負。そのなかで、このサプリ型のサービスモデルにはいろいろな国で展開できる可能性があるということを、日々の仕事の中で感じています。

MODE
FILTER
カテゴリ別
職業別
特性別