interview

各々の生き方に宿る、リクルートのDNA

リクルートならではのデータ活用とは? 分析部隊の成長を牽引した男が語る

西郷 彰

株式会社リクルートテクノロジーズ 専門役員

ITソリューション統括部 ビッグデータ部

ビッグデータ4グループ グループマネージャー

Profile

西郷 彰(さいごう あきら)
2009年中途入社。大手製造業のマーケティング部門や商品開発部門を経て、情報分析のベンチャーに参画後、情報活用のコンサルティング会社を自ら設立。当時リクルートにおいてデータ分析の需要が拡大しており、「分析スペシャリストが集まる専門組織」を構築できそうだと感じて入社。現在は、リクルートテクノロジーズでデータ分析部門のマネジメント業務をしながら、自身でもデータ分析プロジェクトを推進中。
※2016年3月時点です。

リクルートがまだデータ活用に本腰を入れる以前の2009年に入社し、その後リクルートテクノロジーズのデータ分析チームの成長を牽引してきた西郷彰。時代の急速な変化とともに、さまざまな局面でデータ活用が求められるようになった現在では、データ分析専門組織の専門役員として、ビックデータの分析、活用、R&Dを推し進めながら、リクルートにおける「データ活用のエコシステム」の実現を目指している。リクルートきってのデータサイエンティストは、なぜこの企業を自らの活動の場として選んだのか。そして、データの未来をどのように見据えているのだろうか?

リクルートのサービスは知名度があって広く使われている。
自分が行った改善や貢献が
大きな経済価値を生み出すというところに
魅力を感じました。

—西郷さんは2009年にリクルートに中途入社されるまで、どのようなことをされてきたのでしょうか?

西郷:学生のころはインターネットの黎明期で、当時としては早かった方だと思いますが、まだ「ホームページ」と呼ばれていた時代にWebサイトを作ったり、現在のSkypeのようなP2Pツールで遊んでいました。もちろん、大学での研究にも没頭していて、当時は産学連携のテーマを持っていたので、頻繁に企業の方と打ち合わせをして成果を出しつつ、海外のジャーナルに投稿することもありましたね。大学卒業後はメーカーに就職し、情報サービス企業などを経てリクルートに入社しました。

—リクルートを転職先に選んだ理由は何だったのですか?

西郷:あるデータ分析のプロジェクトで関わったのがきっかけだったのですが、リクルートのサービスは知名度があって広く使われているということ、つまり、自分が行った改善や貢献が大きな経済価値を生み出すというところに魅力を感じましたね。また、自由な社風を持ち、各々が責任を持ってチャレンジできるというところも、楽観的な性格の自分には合っていると感じて転職を決めました。

—西郷さんが在籍しているリクルートテクノロジーズには、どんなミッションがあるのですか?

西郷:リクルートテクノロジーズは、IT・Webマーケティング領域の専門スキルを発揮して、リクルートグループ全体の競争優位性を高めることをミッションとしている会社で、僕はそのなかでビッグデータ分析の専門組織の役員をしています。ここはレコメンドを中心としたシステム開発などを行っている部署で、最近は画像解析やディープラーニングなど、分析周りの研究開発にも積極的に取り組んでいたり、リクルート全体のデータ分析プロジェクトにも従事しています。

リクルートには、事業ドメインの幅広さという魅力があります。
膨大な情報を活用して何ができるかという可能性を考えると
ワクワクします。

—リクルートのデータ分析は、どんな環境で進められているのですか?

西郷:主な業務であるレコメンドエンジンの開発においては、Hadoopなどのビッグデータ用の基盤を用いて、パーソナライズ/レコメンドやターゲティング用の演算を作成しています。ここでは統計や機械学習の手法を最大限活用しています。過去には分析ツールを用いて行うことも多かったのですが、最近はプロトタイプをRやPythonで作成したり、直接本番環境と同じJavaで作成したりと、開発のスピードが上がってきました。もちろん日常的に、SQLを用いて集計的な分析なども行っています。

—先ほどお話に出た、画像解析やディープラーニングなどの研究開発について、具体的に教えてください。

西郷:データ活用の進化が加速するなかで、最近では非構造化データの解析における成果が出てきています。テキストや画像の解析がそれに当たりますが、例えば画像解析では、いま注目されているディープラーニングの手法を用いて、サービスサイトにおけるロジックの演算を行っています。また、各種のオープンソースを使って最新の解析と実装を常にキャッチアップするようにしていますね。word2vecを使ってキーワード間の類似度を計算することで、あるキーワードの選択確率が高い人に関連キーワードを推薦するなど、施策の幅を広げています。

—西郷さんにとって、現在の仕事のやりがいは何ですか?

西郷:リクルートには、事業ドメインの幅広さという魅力があります。進学や就職、結婚といったライフイベントから、旅行や飲食といった日々のライフスタイルまで、社会に対して影響力のあるWebサイトを持っているので、さまざまなカスタマーと接点があり、膨大な情報があることが強みです。それを活用して何ができるかという可能性を考えるとワクワクしますし、自分たちの提案を通してビジネスを改善していける手応えや実感を得られることが、仕事のやりがいであり、おもしろさだと思います。

自分がやりたいことを提案すると、
「じゃあ、やってみて」と言われ
どんどんそれが通っていきます。
もちろん責任も持たされるんですけどね(笑)。

—膨大な情報を持つリクルートだからこそできるデータ活用には、どんなことがありますか?

西郷:データ活用に取り組む企業はどんどん増えていますが、その価値を浸透させていくという意味で、リクルートは成功していると思いますね。サービスを幅広く展開していてユーザーの数も多いので、出口がわかりやすいということが、その要因として挙げられるかもしれません。例えば、カスタマーに細分化した情報を届けると、理論的には期待値が上がりますし、リクルートではそれを売上やコンバージョンレートという数字によって証明することができます。これは経営層からも理解されやすいことですし、現場にもわかりやすく伝わっていきます。逆に、何をしても成果を出しやすい状態だと言うこともできます。それを否定するわけではないですが、現状に甘んじるのではなく、意識的にもう一段階上のステップを目指していかないと、グローバルな市場で強い競合と戦うときに、勝っていけないのではないかと思っています。

—もう一段階上のステップに行き着くには何が必要なのでしょうか?

西郷:例えば、住宅や人材など、「領域に特化したデータ活用」をファーストステップとするなら、次のステップに進むためには、「グループ全体として何をしていくのか」ということが重要になります。そのためには、さまざまなパーツがシームレスにかみ合い回っていくエコシステムを作らないといけない。そうなると、人材育成の仕組み、投資テーマの設定、培われた技術の転用など、考えなくてはいけないことがたくさんあります。いかに無駄がなく最適化された組織の状態を作り出していけるのか。これは簡単なことではないですが、IT企業として世界で勝負するために必要なことです。

—入社されてからすでに6年ほど経ちましたが、実際にリクルートで働いてみて、どんなところに良さを感じますか?

西郷:リクルートはボトムアップの提案が通りやすい会社なんです。自分がやりたいことを提案すると、「じゃあ、やってみて」と言われ、どんどんそれが通っていきます。もちろん責任も持たされるんですけど(笑)、これがしたいという意志を発信していくことで新しいチャンスが生まれるし、やれることの幅も広がります。僕のチームの中にも、「これがやりたい!」と自分から手を挙げて、いま注目されている画像解析に一から取り組んでものにしたメンバーなどもいます。チャレンジできる技術もチャンスも多いので、受け身ではなくやりたいことを自分から発信できる人には、とても向いている会社だと思います。

味つけするためのスパイス程度の存在だったデータ活用も、
いまや導入していないマーケティングや機能は
ほとんどないくらい、メインディッシュになってきています。

—ご自身がリクルートに対して何か変化を与えられたとお考えですか?

西郷:「データ活用のエコシステム」を実現できたことですね。5年ほど前までは、リクルートにとってのデータ活用は味つけするためのスパイス程度の存在でしたが、いまやデータ活用を導入していないマーケティングやWebサイトの機能はほとんどないと言っていいほど、メインディッシュになってきています。ようやくリクルートは、データ活用という点で国内の競合と同じ土俵に乗れたかなと感じていますね。今後はさらにデータ活用の仕組みや解析技術の開発、インフラの整備などを追求していく必要があります。そうした部分に自分の知見を活かし、リクルートのデータ活用の進化に対して少しでもバリューが出せればと思っています。

—西郷さんの今後のキャリアにおける夢についても教えてください。

西郷:現在の業務とは大きく離れる話になりますが、ヘルスケア、もしくは医療そのものに変化をもたらしたいと考えています。いまから20年くらい前は変化が期待しづらい産業だったのですが、最近はデータ分析技術などによって変革できる可能性がかなり大きくなっていると感じています。それがリクルートで実現可能かどうかということはあまり考えていませんが(笑)。

—最後に、データ分析の分野に関心を持っている学生に対して、メッセージをお願いします。

西郷:学生のうちにできることをぜひやってほしいと言いたいですね。以前、久しぶりにカーネルの勉強をする機会があったんです。カーネルの直感的な理解として、元のデータ集合がヒルベルト空間に特徴写像されるというものがありますが、これは線形代数がきちんとわかっていないと理解できません。つまりカーネルを使った手法、例えばSVMなどは、線形代数をきちんとやってないと活用できないことになります。そうした分析の基礎となる数学や統計、計算機科学の基本的な勉強は、ぜひ学生のころにやってもらいたいですね。会社に入ると、身につけないといけないことがほかにたくさんあるので、勉強に時間を割きにくくなるんですね。基礎がわかっていることで、応用の幅が広がるし、それは確実に仕事に役立つと思います。

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