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対談から見えるDNAのかけら

個性を発揮できる環境をどう作る? エンジニア文化を作るマネージャー対談

竹迫 良範

小川 健太郎

Profile

竹迫 良範

エンジニア

たけさこ よしのり(左)
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
ネットビジネス本部 ラーニングプラットフォーム推進室
技術フェロー
グループマネージャー
2015年中途入社。大学卒業後、独立系ITベンチャーにて大企業向けパッケージソフトを開発、主にi18n(国際化)を担当する。前職では、中長期のR&Dの傍ら、エンジニア採用、産学官連携活動と日本の人材育成に関わり、NPO法人にてセキュリティコンテスト「SECCON」を立ち上げ、2015年9月より現職に。
※2016年3月時点です。

小川 健太郎

エンジニア

おがわ けんたろう(右)
株式会社リクルートライフスタイル
ネットビジネス本部 ディベロップメントデザインユニット 
アーキテクト2グループ
グループマネージャー

2012年中途入社。受託開発会社に就職し、プログラマーからキャリアをスタート。自由な環境と優秀なメンバーがいる事業会社で働きたいと考え、リクルートに転職。「ポンパレモール」「じゃらんゴルフ」などに携わり、現在はエンジニアマネージャーとして、働きやすい環境作りや新技術の積極的な採用など、強い開発組織作りに注力している。
※2016年3月時点です。

さまざまなスキル、経験を持つエンジニアたちが集うリクルート。エンジニアそれぞれのモチベーションやワークスタイルを踏まえ、彼らが最高のパフォーマンスを発揮するために組織作りに取り組んでいるのが、小川健太郎と竹迫良範のふたりだ。エンジニアとして培ってきた豊富な経験を活かし、リクルートのエンジニア文化を推進している彼らに、チームマネジメントにおけるこれまでの取り組みや現状の課題、内製化を推し進めているというエンジニア組織の今後について話し合ってもらった。

日本にはエンジニアとしての優秀なスキルを持った学生が活躍できる会社は少ない。
内製化を進めているリクルートであれば
期待できるかもしれないと思ったんです。(竹迫)

—おふたりともリクルートには中途で入社されたそうですが、なぜリクルートに転職しようと思ったのでしょうか?

小川:僕は前職で受託開発会社のプログラマーをしていたのですが、受託の仕事というのは与えられた納期があるので、「もっと良くしていきたい」というエンジニアの思いやこだわりがときにマイナスに働いてしまうことがあって。一方で事業会社は、サービスを開発してからが本当のスタートという側面があると感じていたので、エンジニアとしてプロダクトの質を精一杯追求できる環境があるのでないかと感じたんです。そのなかでも、社風が自由そうで、実力主義で評価してもらえそうなイメージがあったリクルートを転職先に選びました。

竹迫:僕はITベンチャーに10年ほど在籍し、優秀な学生を学会やプログラミングコンテストなどから見つけてくるという採用に近い仕事をしていました。そこで感じたのが、日本にはエンジニアとしての優秀なスキルを持った学生が活躍できそうな会社が少ないということ。ベンチャー企業はたくさんありますが、新卒採用をしているところは多くないですし、大企業に新卒で入ったとしても、そこでエンジニアとしてのしっかりとしたキャリアパスが描けそうなところは決して多くない。そんな大企業のなかでも、リクルートは自社に開発組織を持ち、今後は内製化を進めていくということを聞き、ここであれば期待できるかもしれないと思ったんです。

—所属会社は違えど、おふたりともエンジニア組織をマネジメントしていく立場にあると思いますが、具体的にはどんなお仕事をされているのですか?

小川:僕は「ポンパレモール」など新規サービスの立ち上げにエンジニアとして携わった後、2015年4月から新規開発とスマートデバイスアプリを開発する部署のマネージャーになりました。これまで組織作りということをあまり意識したことがなかったので、当初はいままでの役割との違いにギャップを感じていましたね。ただ、良いシステムを作るためには、良い組織という土壌が必要だということは経験上感じていたので、それを整えていくことにいまは注力して、人事評価や採用にも関わっています。

竹迫:私は、リクルートマーケティングパートナーズの技術フェローとして、内製開発エンジニアのキャリアパスや評価制度などを整備していく仕事をしています。もともとリクルートは営業が強かった会社で、エンジニアの人事評価などにおいても営業と同じものが適用されていたんです。エンジニアは、営業とはまったく異なるモチベーションで動いているところがあるので、それに合った評価基準を人事と相談しながら、改定を進めています。エンジニアとしての専門性を追求していくキャリアパスを整備するなど、組織とともに社員一人ひとりも成長していけるようにできればと考えています。

事業会社のエンジニアには
プロダクト志向で行動することが求められると思っていて、
技術と熱意、そしてプロダクトへの理解という
3つが必要だと考えているんです。(小川)

—これまでに働いてきた会社と比べて、リクルートならではの特徴というのは、何かありますか?

小川:受託開発だった前職とは180度違いますね。リクルートは人を大切にする会社なので、「これをしてくれ」と上から言われることよりも、自分が何をしたいか、どうしたいかと聞かれることが多く、それはとても良いことだなと。こうしたリクルートならではの文化をエンジニア組織にも活かしていきたいと考えています。

竹迫:エンジニア組織に限らないことですが、まずリクルートに来て驚いたことは、マネジメントの型というものが非常にしっかりしていることでした。新しくマネージャーになった人でも、その型に従っていけば、ある程度のマネジメントができるようになっていく。それをもとに自己流に新たな技を編み出すこともできます。型がありつつ、枠にとらわれないこともしていけるという環境が良いところだと感じています。

—中途で入社された方も多いそうで、さまざまなバックグラウンドを持つエンジニアが集まっていると思いますが、その点はいかがでしょうか?

竹迫:それぞれが在籍していた会社のカルチャーが混ざり合っているところがあり、それが多様性につながっているような気がします。

小川:その辺はおもしろいところですよね。ただ言い換えると、ここには当たり前や正解がないということなので、組織をマネジメントしていくうえでは難しい面もあります。そのなかで大切にしていることは、共通言語を作るということ。僕は、事業会社のエンジニアにはプロダクト志向で行動することが求められると思っていて、そこには技術と熱意、そしてプロダクトへの理解という3つが必要だと考えているんです。最低限それらを共有したうえで、どう考えていくかというところは、エンジニア一人ひとりに委ねるようにしています。

竹迫:リクルートは一見、バリバリプログラムを書くことに専念したい人は、活躍の場を見出しにくいように思えるかもしれませんが、高度な専門技術が求められるアドテクの部署があったり、グループ全体で見るとまったくそんなことはないんですね。エンジニアには、プロダクトを良くするために磨きをかけていくタイプと、与えられた制約の中で職人的に成果を出していくタイプがいると思っていて、それぞれの特性やスキルに合わせた仕事や役割をアサインしていくということを意識しています。

当事者意識を持つためには、
自分がやりたいことを選択できる自由と、
そこに対する責任を持つことが必要なんですよね。(小川)

—その人のタイプを考えて仕事をアサインするようにしているんですね。メンバーのモチベーションを保つために工夫されていることはありますか?

小川:自由と責任のバランスを大切にしていますね。これだけの自由が与えられる分、これくらいの責任が生じるんだということをメンバーにインプットしたうえで、モチベーションを高く持って仕事をしてもらうということを意識しています。リクルートでは「圧倒的な当事者意識」ということがよく言われ、僕も入社当初は当事者意識がないといろいろな人に怒られていましたが(笑)、当事者意識を持つためには、自分がやりたいことや、こうした方がいいと思ったことを選択できる自由と、そこに対する責任を持つことが必要なんですよね。

竹迫:僕は、生産性の向上につながることは、基本的に何でもしていいと考えていて。逆に、生産性を落としてしまうような会議はなくすようにしているし、極力ミーティングを入れない曜日を設けて、エンジニアが作業に集中できる時間を意識的に作るようにしています。Slackなど共通のコミュニケーションツールを使うということも徹底していますね。リクルートマーケティングパートナーズとリクルートホールディングスでは、2015年からリモートワークを制度として認めているのですが、こうした取り組みも共通のコミュニケーションツールがあるからこそ成り立っているところがあります。

小川:働き方のスタイルは人それぞれなので、みんながコミュニケーションを取れる共通のツールは大切ですよね。何かしらのツールで連絡が取れる状態であれば、極端な話、みんなが同じ場所にいなくてもいいかなと思っています。僕個人としては、顔が見えている方が安心できるのですが(笑)。個々人が選択できる状態というのはいいですよね。

—自分の力を最大限発揮できる環境を、自分で選んで仕事ができるのは魅力的ですね。

竹迫:そう思います。リモートワーク導入の際には「生産性が落ちるんじゃないか」という懸念もあったようですが、いまのところそのようなことはなく、むしろ無駄な会議が減ってきたりしているので、結果的に良かったのかなと。お子さんがいる社員もいたりとそれぞれに家庭の事情もあるので、働き方の多様性を認める土壌も大切かなと思っています。

経験したことをものさしにして、
現在の自分の位置を把握するということは大事ですよね。
そういう過程を通して、
自分の本当の個性や強みを認識できるといいのかなと。(竹迫)

—新卒社員の育成という点では、どんなことを大切にしていますか?

竹迫:その人が持っている技術を活かせるチームに配属するようにしていますね。それまでに自分が学んできたことを一度忘れて、新しい技術を習得してもらうということではなく、これまでのスキルを活かしつつ、現場のエンジニアとともに新しい技術についても学んで、成長していけるような環境作りを目指しています。

小川:僕は新人に対して、大きくわけてふたつのパターンで対応しています。まず、向上心が強く、いろいろなことをしてみたいと考えている人には、2、3か月ごとに関わるプロジェクトをどんどん変えていくようにしています。また、特定の能力を磨き込もうとしている人は、その人と同じ職種でより優れたスキルを持っているエンジニアを上につけて、あえて挫折をさせるということもしています。社会の厳しさを教えるということではなく、「上には上がいる」ことを感じてもらい、何が自分に足りていないのかを言語化してもらう。そうすることで、具体的に何を改善すればいいのかがわかりやすくなるんです。

竹迫:経験したことをものさしにして、現在の自分の位置を把握するということは大事ですよね。プログラミングというのは受験勉強などとは違うので、点数がつけられる機会はあまりない。だからこそ、周りにいる優秀な先輩を通して高い壁を感じることで、「追いつくためにはどれくらいのことが必要なのか」とか「自分は違う軸で攻めてみよう」と考えたりできるんです。そういう過程を通して、自分の本当の個性や強みを認識できるといいのかなと。

小川:僕らの裁量でその人の上限を設定するのではなく、当人が自分で感じて行動していくことが大事ですよね。リクルートには「よもやま文化」のようなものがあって、上長と週に1回くらいのペースで話をする機会があるんです。そこで雑談をしつつ、その人に足りていない部分などを詰めたりするのですが(笑)、そうしているうちに、「自分は何でもできる」と言っていた社員が、「自分の価値って何でしたっけ?」と聞いてきたりするんです。

—だんだん自分の位置がわかるようになってくるんですね。

竹迫:そうですね。これは新人に限らない話ですが、スクラムという開発チームが一体となって進める開発手法を採用しているチームのなかには、自分の専門外のタスクを受け取れるように工夫をしているところもあります。リクルートにはさまざまな分野の専門スキルを持つエンジニアがいるので、マルチファンクショナルなスキルを身につけたい人は実践しながら学習していくことができます。

小川:マルチファンクショナルともつながるかもしれませんが、変化を受け入れるというのは大切なことですよね。IT領域では、言語やシステムが常に変化していくので、そのなかで自分が何を大切にして、どう成長していきたいかということをそれぞれのエンジニアに聞いて、そこに合った仕事を渡していくように心がけています。

リクルートは最初から大きな予算を投資するので、
スタート時点からしっかりしたサービスが作れるし、
全国に展開する際などにも営業の力が活かせます。(竹迫)

—リクルートでは、システム開発の内製化を進めているということですが、その必要性はどんなところにあるのでしょうか?

竹迫:リクルートのエンジニアが主体となり企画段階から関わっていくことで、外注したら1年程度かかるようなサービスを、場合によっては数か月で立ち上げるということが可能になりますし、エンジニア自身がユーザー目線で気づいたことをすぐに改善することもできる。ユーザビリティを日常的に向上させていくことを通して、内製開発の価値は最大化されると思っています。

小川:大規模なサービスを構築・運用していくときは、パートナー会社の力を借りることも大切なことだと思います。一方で、新規事業やスピード感を持った開発を行いたいときは、内製化だとコミュニケーションのハードルが大きく下がるので、スピード感が増していくというメリットがあります。

—社内でプロジェクトを進めていくことで多くのメリットがありそうですね。いっしょにプロジェクトを進めていく仲間として、どんな人たちと仕事をしていきたいと考えていますか?

小川:やはり事業会社としては、プロダクトへのコミットメントは大事なポイントだと思いますね。例えば、何かしらのエラーが起きたときに、担当者だけが対応すればいいと考えるのではなく、サーバーサイドのエンジニアだろうが、アプリのエンジニアだろうが、そのサービスに関わっている全員が対応していくような文化を作っていきたい。そうした意識を持ちながら、強い意志でプロジェクトを推進していける人たちと働きたいと思っています。

竹迫:通常のネットベンチャーだと小さく作って徐々に育てていくものですが、リクルートは最初から大きな予算を投資するので、スタート時点からしっかりしたサービスが作れるし、全国に展開する際などにも営業の力が活かせます。そういう意味では、これまでのネットベンチャーに限界を感じていたような人たちには良い環境だと思いますね。

—いままさにリクルートのエンジニア文化を作り上げている最中かと思いますが、これからおふたりがリクルートでしていきたいことを教えてください。

竹迫:いま僕はエンジニア向けの社内イベントの企画など、リクルートグループを横断して、エンジニア同士で交流できる機会を試験的に作っているんです。普段はほかのグループ会社や部署がどのようなことをしているのかわからないので、RPGゲームでいろんな村を回って情報を集めているような感覚があっておもしろいですね。今後は、横のつながりを強めて技術を共有するなどうまく連携していけるといいですし、そこで成長していくエンジニアたちを親の気持ちで見届けたいなと思っています(笑)。

小川:組織や環境を作っていくということは引き続きしていきたいですが、近い将来、「リクルートのこのサービスで仕事がしたい」とエンジニアに感じてもらえるようになりたいですね。エンジニアの間では、「このサービスと言えばこの言語」というものがいくつかあって、それを自身のキャリアプランと照らし合わせたりして会社を選択するということを見てきました。エンジニアとしては、リクルートライフスタイルからそういった世の中のエンジニアのキャリアプランを左右するようなサービスを生み出していきたいと思っています。

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